警備員にクレーム

施設警備業務では時々クレームがあります。つい先日もこんなクレームがありました。

『駐輪場で待機ボックスにいる人にジロジロ見られるのが不快』

私が勤務する複合ビル内の塾に通う生徒からのクレームらしいのです。塾生の親→塾(テナント)→施設管理(クライアント)→防災センター(警備隊長)とクレームが回って来ました。駐輪場は7時~15時はシルバー人材センターから派遣されている職員が管理しており、我々警備は15時~19時です。上記のクレーム内容は『ジロジロ見られる』と抽象的な表現で日常的な事案なのか1回だけなのか、またいつの事案なのか全くわかりません。クライアントもクレームを受けた際に事実確認を全くせずに謝罪してその場をやり過ごす、そして警備員を責め立てる、完全に警備員を悪者扱いです。            これまでにも様々なクレームがありましたが、一言でクレームと言っても多種多様です。私がこれまで経験したクレームやその対応について紹介します。

心当たりのないクレーム

冒頭で紹介したクレームについてですが、私は毎日駐輪場の配置に付きます。もしかしたら自分に向けられた話かもしれませんが、全く心当たりがありません。特定の塾生を凝視するようなことはしていません。クレームを受けた塾もクライアントも警備員も、いつの話なのか日常的な出来事なのか事実確認をしていないため、『ジロジロ見てる』人物が誰なのかわからずじまいです。             小学生の頃、友達との口喧嘩で「証拠は?いつ?どこで?何時何分?」なんて言い合いした経験がありましたが、まさにこれが重要です。クレームがあったらいつどこでの出来事か、警備員なら胸に写真付き身分証を付けているはずなので名前の確認ができることもあります。殆どの場合は誰が原因のクレームなのかわからないまま、警備員が悪者にされます。

理不尽なクレーム

中央省庁で多かったクレーム、出入管理業務として来庁者に訪問部署と身分証の確認を求めたら「客を不審者扱いしやがって‼」と怒鳴られたことが何度もありました。「入館ルールなのでご協力お願いします」と説明しても理解できない客、クレーマーによるカスタマーハラスメントです。警備員はクライアントからの指示通りに業務を遂行しているだけなのに文句を言われます。受付が混んでいて待たされた、スムーズに入館できない、そんなイライラした感情を警備員にぶつける客が多かったです。     私が経験した一番理不尽なクレームは、お台場のショッピングモールで立ち入り禁止エリアにいた男性客に注意した後、巡回を再開した際にたまたまその男性の後ろを歩いていたら「付け回された」と防災センターに怒鳴り込まれたことです。これらの理不尽なカスハラをするクレーマーは、自意識過剰な被害妄想によるものだと思われます。                                 他には夏の勤務時に水分補給のために水を飲んでいた、座哨業務に対して「なぜ座ってるんだ」などお客さんに迷惑かけるような事案ではないようなクレームもあります。でも警備員だって人間です。真夏の水分補給ができなければ熱中症や脱水症状で倒れます。長時間勤務に耐えるために一部のポジションで座哨が認められている現場もあります。

恥ずかしいクレーム

立哨警備員が壁や柱に寄りかかっていた、受付の座哨警備員が居眠りしていた、複数人配置のポジションで警備員同士でおしゃべりしていたなど、勤務中の態度や言葉遣いに対するクレームもあります。一部のいい加減な警備員のせいで、その現場の全員が低レベルな警備員だと思われてしまいます。このようなクレームを受けるのは警備員の恥です。このようなクレームが来る隊員は大体決まっていて何度注意されても改めず、現場を追い出されて異動させられます。そして異動先でも同じことを繰り返して現場をたらい回しにされます。最悪の場合、勤務する現場がなくなって自宅待機になってしまうこともあります。

まとめ

①クレームを受けた時は日時や具体的な内容の聞き取りが必要。ただ謝罪するだけでは改善に繋がらない。

②理不尽なカスタマーハラスメントには警察に通報するなど毅然とした対応を。警備員は客のサンドバックではない。

③レベルの低いクレームは警備員の恥。恥ずかしいクレームは警備員の資質を疑われる。

以上、警備員へのクレームについてでした。接客業にはクレームが付き物、施設警備も例外ではありません。私はこれまで複数の施設で勤務してきましたが、クレーム対応はどこも変わらないです。どんな内容でも詳細がわからなくてもとにかく謝罪、最終的に警備員が悪者にされる流れです。クレーマーの理不尽なカスハラでも警備員が謝罪を強要されたり、始末書を書かされたりします。会社は現場の警備員を守ってくれません。身に覚えのないクレームで責められて納得できずに辞めて行った隊員を何人も見て来ました。

近年、カスタマーハラスメントが社会問題になって毅然とした対応を取る企業も増えています。『お客様は神様』の時代はもう終っています。各警備会社も現場の隊員がカスハラで精神を病んだり、モチベーションが下がることがないように現場の隊員を守ってもらいたいです。

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