世間では警備員は底辺の仕事と言われています。警備会社の求人募集を見ると、殆ど『学歴年齢不問・未経験者OK』と掲載されています。応募すれば誰でもなれそうな警備員、実は誰でも簡単になれるわけではないのです。
警備員になれない人
警備員として働くには警備業法に則って勤務しなければなりません。その警備業法の中に記載されている『欠格事由』に該当する人は警備員になれません。警備業法で定められている欠格事由は8つ、個々の解説は割愛しますが、18歳未満、自己破産手続き中、アルコール・薬物中毒など欠格事由に当てはまる人は警備員になれません。
採用後に必要な書類
どこの会社に入社するにも必ず提出しなければならない書類があります。年金手帳、雇用保険被保険者証、源泉徴収票の提出はどんな業界でも提出を求められます。警備会社ではこれらに加えて提出しなければならない書類がたくさんあります。
住民票、身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証ではなく、本籍地の役所で発行される書類)、誓約書、身元保証人書、健康診断書、登記されていないことの証明(法務局で発行)、運転履歴証明書などです。
警備会社に応募して面接後めでたく採用、しかし翌日からすぐに勤務できません。まずは上記の書類を揃えなければなりません。居住地の役所に本籍地の役所、法務局と役所巡りです。その後、身元保証人になってくれる人を探してお願い、相手があることなので一両日中というわけにも行かず、先方の都合を合わせてお願いに出向くか郵送で署名してもらうか、いずれにしても数日かかります。健康診断は会社によって異なります。入社日までに自分で病院に行って受けるよう指示されるか、新任教育期間に会社指定病院に連れて行かれるかどちらかです。費用は自己負担と会社負担、会社によりますが私の経験では自己負担の会社が多かったです。運転履歴証明書ですが、車両を扱う職種に就く人が提出を義務付けられる書類で、私は提出したことはありません。こちらの書類は警察署や交番で取得可能だそうです。
書類は毎回必要
警備会社から別の警備会社へ、同業他社へ入社する場合は上記書類を新たに揃えなければなりません。私のように警備会社を複数渡り歩いている人間は、入社の度に役所巡り、保証人のお願い、健康診断と面倒な書類集めをしなければなりません。なので、せっかく入社したのにあまりにも劣悪な現場で研修期間中に逃げ出して別の警備会社に入り直した時は、再度書類の用意に追われてため息が出ました。
まとめ
①警備員は誰でも簡単になれるわけではなく、様々な条件をクリアしなければならない。警備業法の『欠格事由』に該当する人は警備員になれない。
②警備会社に入社する際に提出する書類は、一般の社会人に馴染みのないような書類が多くて面倒。提出書類を揃えるための日数が必要。
③短期間で複数の警備会社を渡り歩くとその都度、提出書類を用意しなければならない。
以上、警備員になれない人と警備員になるために必要なことについてでした。世間では底辺職と位置付けられている警備員、年齢・学歴不問での求人募集、警備業界を知らない人には『誰でもできる仕事、行き場のない人間の終着点』に見えるかもしれません。しかし、全く条件なしで警備員に採用されるわけではありません。8つの欠格事由、身分を証明するための多数の書類提出とクリアしなければならないことがたくさんあるのです。誰でもできるけど簡単にはなれない、それが警備員です。