警備会社に入社すると警備業法で定められている新任教育の受講が義務付けられています。そして本社(支社)での座学終了後、配属先での現場研修となります。先輩警備員と共に業務を行い、実務を学びます。新人警備員は現場研修中にやる気の有無だけでなく、挨拶や言葉遣いなどの行動が見られています。警備業界は社会人経験がある中高年の中途採用が多いので、社会人として最低の礼儀やマナーを兼ね備えているかなど細かいところもチェックされます。
苦労する新人警備員
仕事だけでなく、学校の勉強や習い事でも飲み込みが早い人はいます。普通の人が3回で覚えることを1回でできる人、逆に5回聞いてもできない人もいます。これは完全に個人差なので仕方ありません。施設警備は現場によりますが、業務が多岐にわたって覚えることが多く、業界未経験の新人は皆さん苦労するようです。私自身、警備経験があっても新しい会社に入って未知の現場で研修を受けた時は苦労しました。決して飲み込みの早いほうではなく、学業もスポーツも覚えが遅いほうだったので仕事もなかなか覚えられませんでした。そして施設警備で多くの新人を見て来ましたが、覚えが早い人は10人に1人ぐらいでしょうか。施設警備は毎日、決まった時間に同じ業務を遂行するので習慣として身に付けば楽ですが、そこまでに時間がかかる人が多いです。
覚えが遅い理由
覚えの遅い人の教育係になった隊員は苦労します。これまで覚えが遅い新人を見て来てなぜ覚えられないのか考えて見ました。
高齢者に多いですが、記憶力が劣っている人は覚えが遅いですね。そして大抵の高齢隊員は「歳取るとなかなか覚えられないんだよ」と言い訳してしまいます。そう思うのならメモして何度も読み返したり、先輩にどんどん質問するなど覚える努力をしてもらいたいものです。
研修時にメモを取らずに先輩の話を聞き流してる人、これは話を聞いてないのと一緒です。時々このような新人を見ましたが、「この人、メモ取らなくても言われたこと全部覚えられるんだ。すごいな」と感心したものです。しかし、人間の記憶力なんてたかが知れています。ドラマ『相棒』の杉下右京のような優れた記憶力の持ち主でもない限り、人の話を全て記憶するなど不可能です。現場によっては業務マニュアルを用意していますが、実践で覚えるためには先輩の指導内容を聞いてメモすることが大事です。
単純にやる気がない人、これは本人の気持ちの問題なのでいくら教育係が頑張っても厳しいです。他の業界から来た新人の中には『警備員は立ってるだけで金が稼げる楽な仕事』と大きな勘違いをしてる人がいます。このような人が実際の現場研修で覚えることが多くて「こんなはずじゃなかった」とやる気をなくしてしまうなんてことがあります。自分には無理と数日で辞める人は仕方ないですが、経済的事情など自分都合で居座られると迷惑です。やる気のない隊員の存在は隊全体の士気の低下に繋がります。
まとめ
①施設警備の新人は仕事を覚えるのに苦労する。業務が多岐にわたるため、習慣化して身に付くまで時間がかかる。
②仕事を覚えるのが遅い理由。人よりも記憶力が劣っている、メモも取らずに人の話を聞き流す、やる気がない。
以上、新人警備員の現場研修についてでした。仕事の覚えの早い遅いは個人差なので仕方ない部分もあります。私もいろいろな現場で新人研修を受けましたが、2~3日で仕事ができないと怒鳴られた経験があります。このような職場はブラックと思って間違いないです。実際、この空港現場は人の悪口や噂話、新人いじめ、スパルタ教育を気取ったパワハラなど最悪の職場環境でした。
新人警備員は現場研修中にやる気があるか無いかを見られています。しかし、逆に新人にとっても職場環境や先輩の性格など観察する期間です。研修中にパワハラを目撃したり性格の悪い先輩がいたりすれば、研修中に退職を決意する場合もあります。このように新人がすぐ逃げないように『3か月継続勤務で健康診断の費用を会社負担』などの条件を付けたり、教本や備品を購入させて給料天引きにして最初の給料支給日まで退職は認めないなどと独自の規定を設けている会社があります。少なくとも私が経験したこうした『条件付き』企業は人が定着しない、新人が逃げ出すようなブラック企業です。現場研修は先輩が新人を観察する期間であると同時に、新人もこの職場でやっていけるのか考える期間でもあります。