新人警備員の現場研修

警備会社に入社すると警備業法の規定により、新任教育を受けることになります。未経験の新人の場合は20時間以上、ほとんどの会社は3日間でクリアします。新任教育が終っていよいよ現場での勤務、しかし、いきなり一人で放り出されても何もできません。そこで研修期間を設けて、先輩隊員に指導を受けて業務を教わることになります。私も複数の警備会社を経験して、それぞれの新人研修を受けました。逆に社歴が長かった霞が関中央省庁では、教育係の経験もしました。教わる側と指導する側、両方の視点から新人研修について見ていきます。

メモ帳を用意しない新人

警備会社そして各現場によって、研修のやり方は千差万別です。業務マニュアルや資料を用意してる現場もあれば、先輩の指導を見聞きして自分で理解する努力が必要な現場もあります。また、指導する先輩隊員も、親切丁寧な人もいれば早口で何を言ってるかわからない人、スパルタ教育を気取ってすぐに大声で怒鳴る人、物言いがキツイ人などいろいろでした。

私が一番長くいた中央省庁は、会社も現場もブラック体質だったので、人が定着しませんでした。常時人が辞めて行くため、それに伴って新人も入って来ます。在籍7年の間に数えきれないぐらい、2~3日で姿を消して顔も名前も記憶にない人が少なくありません。

多くの新人を迎え入れたこの現場ですが、ほとんどの人がメモ帳を持たずに研修を受けてました。ちなみにマニュアルが用意されてましたが、マニュアルを読んだだけで全て理解できるほど警備の仕事は甘くないです。私はメモも取らずに先輩の話を全て記憶できるほど頭が良くないので、研修期間は必ずメモは取りました。なので、メモ帳を持たない新人を見てると先輩の話をただ聞き流してるようにしか見えませんでした。案の定というか、研修期間が終って一人で業務を遂行するようになってほとんど何もできない状態です。もちろん、デビューしたばかりの新人に完璧を求めるのは酷なのはわかります。当然、先輩のフォローも多少は必要でしょう。しかし、「研修期間、何やってたの?」と言いたくなるような基本的なこともできない新人が多数存在しました。マニュアル頼りでメモも取らず、業務を理解する努力を怠った結果でしょう。

研修期間は短め

現場ごとで研修期間は決められています。大体、1週間~10日間ぐらいでしょう。会社としては研修期間は短いほうがいい、その理由は研修隊員に支払う給料です。

クライアントとの契約条項に一日の隊員配置人数(ポスト数)も組み込まれます。そしてポスト数に応じて料金が決まるわけです。現在、私が勤務している現場は当務3名と日勤1名です。ここに研修隊員が入って1週間だけ一人増えたとしてもその分の割り増し料金は請求できません。クライアントからは当初の契約通りの料金しかもらえない、その売上から正規の人数4名に給料として分配する、研修生の給料は会社持ち出しとなるため、研修はできるだけ短期間で済ませたいわけです。でも私は全ての現場で「こんな短期間で覚えられない」と感じました。一人立ちしても先輩のフォローがあればいいのですが、新人いじめが横行してる職場だと非常に辛い思いをさせられます。

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指導する警備員の責任

現場経験が長いと新人の教育係になることがあります。私も中央省庁では女性の新人が来ると教育担当となりました。新人指導はものすごく気を遣うし、研修生のミスは指導警備員の責任、正直苦手でした。『親切丁寧にわかりやすく』を心がけていても多くのお客様対応に追われて忙しくなると、業務優先で指導教育に手が回らなくなることも度々ありました。これまで新人として教わった時、様々な嫌な思いをしてきたので、自分が教える新人に同じ思いはさせたくありませんでした。幸い、私が教えた新人で研修中に辞めた人はいませんでした。ただ、会社がブラックなこともあり、1年で去って行く女子隊員が多かったです。

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まとめ

①新人はメモを用意するべき。メモを取らない姿は傍から見ると、先輩の指導を聞き流してるようにしか見えない。

②現場研修期間は決まっているが短い。研修期間中の隊員はポスト数に入らないため、支払われる給料は会社持ち出し。

③指導する先輩隊員も気を遣う。自分のせいで辞められるのが一番辛い。

以上、新人研修についてでした。警備員は座学の新任教育の後、現場で更に研修期間があります。一般の会社だと初日から従業員の一員として簡単な仕事から業務に携わることになりますが、警備業は一定の研修期間が設けられるという独特の制度があります。この研修期間は新人が先輩隊員達から注目されて品定めされますが、逆に新人側が職場の雰囲気や先輩達の人柄を観察するチャンスでもあります。業務内容、人間関係、職場環境などから自分がここで長く働けるか考える期間でもあります。仕事が複雑すぎる、クセがある人が多い、休憩時間が少ないなど自分には無理だと思ったら研修中に退職すればいいのです。ただ、研修期間いっぱいまで在籍して一人立ちデビューの日に突然来なくなるのが一番迷惑ですね。1ポストとしてメンバーに入っているのに出勤しないのはシフトに穴をあけることになり、当務明けの人や休日予定の人が穴埋めしなければならなくなります。研修だけ出勤して隊に一員になった途端に無断欠勤、連絡が付かない状態、しかし研修期間の賃金は受け取る、警備会社を渡り歩いてこんな行為を繰り返す『研修詐欺』もいるようです。研修詐欺については機会があったら記事にしたいと思います。

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