警備業界の人手不足・50代は若手?

警備業界の人手不足の原因を思いつくままあげてみると、給料が安いのに激務、拘束時間が長い、スキルが身につかない、世間体が悪い、現場の職員や客から文句言われる、昇給・ボーナスがない等々。各警備会社が労働条件や職場環境の改善に取り組めば従業員(現場隊員)の定着率が少しは上がると思うのですが、残念ながらほとんどの警備会社は改善に向けての意識がないようです。業界全体が従業員を使い捨て、雇われてる従業員もモチベーションを保てず短期間で辞めて行く、何年経っても人手不足は解消されないわけです。

給料が安いのに激務

猛暑激寒・風雨降雪の中、長時間の立哨業務は体に堪えます。また、現場によっては広い敷地や高層の建物での巡回など体力を使います。しかし、激務の割には給料が安いのがこの業界です。警備業は売上や利益などが目に見えない業種、生産性がないので給料アップはほとんどありません。成果が数字で表れないからボーナスなんてない、昇給するのは最低賃金が改正された時だけです。そしてほとんどの警備会社は最低賃金以上の給料は払いません。なので年収は世間の平均以下、裕福な暮らしとは程遠い人生を強いられるのです。

拘束時間が長い

施設警備は24時間当直勤務(以下当務)があります。日勤の隊員もいますが、当務で翌日明けの勤務形態が大半です。しかし、賃金は実働時間で算出されるため、24時間拘束されても仮眠時間や休憩時間は給料が発生しません。深夜手当や残業手当がついても二日分の仕事を一日でやると考えると、拘束時間の割には給料が安いです。

世間体が悪い

『職業に貴賤はない』と言いながら『底辺職ランキング』なるものが存在する世の中。警備員は世間では底辺職と位置付けられてる職業です。世間体を気にする人はこの業界に長くいたくないでしょう。世間体が悪いからと家族に反対される人も少なからずいるようです。

現場の職員や客から文句を言われる

全館禁煙、飲食禁止、無断駐輪など施設のルールを守らない客やテナント職員に声掛け注意しても逆ギレされることが多いです。「警備員が偉そうに!」などと暴言を吐かれることも珍しくありません。常日頃からこうした心無い言葉をぶつけられるとメンタルが壊れて仕事が続けられなくなります。私も霞が関中央省庁で日常的なカスハラに苦しめられて過去の鬱病が再発、休職する羽目になりました。私は他の業界に転職できるスキルがないので警備業界で働くしかなかったのですが、もし他の業界で働けるようなスキルがあれば警備業界から抜け出すことを考えたと思います。

高齢者多数

警備業界では50代は若手扱い、私も今の会社の面接で50代半ばなのに「まだお若いですね」と言われて驚きました。世間一般では35歳以上だと転職は難しいと言われます。しかし、警備業界は60代~70代の隊員は珍しくありません。日本は高齢化が進み、年金だけでは生活できない高齢者が働かないと生きていけない時代になっています。警備業界はそんな高齢者の受け皿として、ある意味社会貢献しているのかもしれません。一方で将来のない年寄りの仕事と位置付けられて若者が希望を持って働ける環境ではなくなるかもしれません。業界全体が先の短いおじいちゃんばかりが集まって長く働ける若者が少ない、これも万年人手不足の原因でしょう。

まとめ

①仕事がキツイ割に低賃金。暑さ寒さや悪天候の中での勤務で体力消耗は半端ないが、薄給すぎて割に合わないとの不満から退職する人が多いのがこの業界です。

②拘束時間が長い当務がキツイ。当然のことながら規則正しい生活ができなくなります。体調不良になり、数カ月で退職する人が少なくありません。

③世間体が悪い。世間では誰でもできる底辺の仕事と認識されているからです。

④来館者やテナント職員に文句を言われることが多い。ルールを守らない人に注意するのも警備員の仕事ですが、注意されて素直に聞いてくれる人ばかりではありません。心無い人の逆ギレや暴言に耐えられなくなって業界を去る人もいます。

⑤警備員はおじいちゃんが多い。60代以上の隊員が多いので将来のない年寄りの仕事と認識されています。若者が希望を持って活躍できる業界ではありません。若者が集まる職場環境を作らないと人手不足は解消されないでしょう。

以上、警備業界の人手不足の原因を考えてみました。今はどの業界も人手不足で若ければ仕事を選べる時代です。そんな若者達が果たして今の警備業界に魅力を感じるでしょうか?賃金、労働条件、ライフワークバランスの充実など業界全体で改善しないと人手不足が解消されることはないでしょう。そして各会社も『嫌なら辞めろ』『代わりはいくらでもいる』『人が辞めたらまた募集すればいい』などと従業員の使い捨て意識を捨てなければ良い人材が育たないでしょう。警備員が憧れの職業になる日は来るのでしょうか?

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