警備員への転職はお勧めできない

もし、私が友人・知人から「警備員やりたい」と相談されたら「やめた方がいいよ」と答えます。「アンタは人に勧められない仕事してるのか?」「そんな業界になんで20年以上もいるの?」との声が聞こえて来そうです。私がなぜ警備業界に長くいるのか、それは『結果的に抜け出せなかった』からです。35歳で私服保安員(万引きGメン)として警備業界に入って9年、鬱病を発症して退職した時に警備以外の仕事を探しましたが年齢は既に40代半ば、私服保安員の経験は他業種では何の役にも立たない上に特別なスキルもなく、工場や倉庫のアルバイトしかできませんでした。結局、私服保安から制服警備に転向という形で警備業界に戻ることになりました。

全国の警備員数約58万人(令和4年末現在)の中には警備の仕事が好きで働いている人もいるでしょう。警備員の仕事を見下したり蔑む意図は全くありません。あくまでも私が経験したことを踏まえて独断と偏見で語っていることをご理解ください。

拘束時間が長い、でも給料は安い

『9時間拘束・8時間労働』が一般的な会社員の一日ではないでしょうか。しかし、施設警備員は24時間当直勤務(以下当務)の現場が多いです。日勤の勤務形態もありますが、警備業では日勤は稼げません。ほとんどの警備会社は『最低賃金×実働時間』で賃金が支払われます。当務勤務は深夜手当や残業手当が付きますが日勤にはこうした手当はありません。当務は翌日は明けになります。一日で二日分の仕事をしてることになり、当務一回分の賃金を二日分と考えると賃金が高いとは言えません。

隊長・副隊長になれば役職手当、各種資格を取れば資格手当で多少稼ぐことはできますが、無資格の一般隊員が稼ぐ方法は勤務日数を増やす、可能であれば残業も増やすしかありません。しかし、休日が減ればワークライフバランスも崩れて体調不良の原因にもなるでしょう。

稼ぐために健康を犠牲にするか、体調管理を優先して安い給料で我慢するか、警備業界で働くと究極の選択を迫られます。

パワハラが多い

警備業界はパワハラが多いと言われています。私も複数の警備会社を渡り歩いてそう感じますし、パワハラの被害に遭った経験もあります。昭和の古い体制のままで昔は当たり前だったパワハラが現在も行われている時代遅れの会社、軍隊を模倣した警備隊では隊長や先輩からの恫喝は日常茶飯事、隊長が独裁者で嫌いな隊員を徹底的にいじめるなどパワハラの形は様々です。

業務が雑多で忙しくて精神的に余裕がない、常にイライラしてるから些細なことで腹を立てる、私も経験ありますが無意識のうちに声が大きくなって物言いがきつくなる、それがパワハラに繋がる原因かと思われます。それに加えて警備員は性格にクセがある人が多いのも要因ではないかと。ほとんどの警備員がどこかで働いていたけど人間関係に躓いたり、理不尽な扱いをされて警備業界に流れて来る、何を隠そうこの私がそうですから。警備業界はパワハラが起きる要素が満載です。

やる事が多い

施設警備業務はやる事がたくさんあります。受付、鍵開け、拾得物処理、巡回、立哨、開閉館作業。こうした通常業務に加えて迷子、人倒れ、万引き・置引き・盗撮などの犯罪、クレーマー、客同士のトラブルなどの事案が起きた時の対応も警備員の業務です。『立ってるだけで給料がもらえる』と勘違いして別業界から来た未経験者が業務が多すぎて覚えきれないとすぐに辞めてしまうことも珍しくありません。

施設警備現場は商業施設、空港、学校、官公庁、工場、劇場、病院、オフィスビルなど様々です。そして現場によって業務内容も様々で忙しい現場と楽な現場の差が激しいです。商業施設のような敷地が広く、常に不特定多数の人が出入りする現場は事件事故やトラブルが起きやすく、警備員の仕事が増えてしまいます。現在私が勤務してる複合ビルはどちらかと言えば楽な現場です。人の出入りも商業施設ほどではなく、事件事故も比較的少ないです。

このように警備員の仕事は現場の当たりはずれで大きく左右されます。暇で楽な現場に配属されるか休憩時間のまともに取れないぐらい忙しい現場に配属されるか『配属ガチャ』で運命が決まると言っても大袈裟ではありません。一人の人間がこなせる程度の業務量で人間関係がうまく行く現場なら配属ガチャは当たりでしょう。但し、私の経験でははずれの方が圧倒的に多いです。

まとめ

①拘束時間が長いけど給料が安い。勤務日数を増やして残業もやらないと人並みに稼げない。

②パワハラが多い業界である。

③施設警備は業務内容が多い。未経験者はもちろん、警備経験者でも現場が変わると覚えるのに苦労する。

以上、警備員への転職をお勧めできない理由についてでした。

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