警備員の給料

施設警備員がもらえる給料はいくらなら妥当なのか。当直勤務(当務)・日勤・夜勤では当然金額は違ってきます。また、月給制・日給制・時給制でも計算方法が違ってきます。私はこれまで複数の警備会社で働いてきましたが、どこも給料は安いと感じてます。8~9時間労働の日勤では15万前後、日勤でも実働時間が長い現場なら20万以上の給料をもらえますが、ライフワークバランスが崩れてしまいます。高ければ良いというわけでもないのです。

給料の差別化

警備員の給料は『(自治体規定の)最低賃金×実働時間』で計算される会社が多いです。そして年次昇給や賞与がない会社も多いです。10年選手も新人も同じ時給(日給)、なので同じ会社で長く働いてもメリットがない、業界全体の定着率の悪さの原因とも言えるでしょう。雇用形態、勤務形態、資格の有無、役職の有無など会社によって差別化の基準も様々です。正社員と契約社員では月給制と時給制(日給制)で差別化される、または通常の差別化がなくても正社員のみ賞与で差別化する方法もあります。また、同じ契約社員でも深夜手当や残業手当が付く当務、資格手当や隊長・副隊長等の役職手当などで差別化されています。ただ、残念ながら勤務評定で差別化されることはほとんどありません。ガチで働く仕事ができる人も仕事ができない怠け者も給料は一緒です。本来は勤務態度や能力で給料の差別化を図るべきだと考えます。怠け者でレベルの低い隊員は最低賃金、高レベルの隊員にはその1.5倍ぐらいの差をつければ、怠け者達も少しは真面目に働くようになり、隊全体のレベルアップにも繋がるのではないでしょうか。

求人広告の給与条件は鵜呑みにするな

警備会社の求人広告では数々の支給額が表記されています。

『入社祝い金〇万円支給、法定研修3日間で〇万円支給、研修期間中昼食代〇千円支給、特別報奨金制度〇万円・・・』

人員不足の会社は多くの人に入社してもらいたいので、いろいろな支給額で応募者の気を引こうとします。しかし、上記の待遇を見ると法定研修は業務としての拘束時間だから賃金として支給されるのは当たり前、わざわざ記載することではありません。特別報奨金制度なんて意味不明、おそらく何らかの条件付きで誰でももらえる物ではないと思われます。入社祝い金や昼食代まで用意して募集するような会社は人員不足がかなり深刻化しているのでしょう。しかし、肝心の賃金は『8300円~』と曖昧な表記。『~』が曲者、頑張り次第でこれより高い賃金がもらえると錯覚させられますが、大抵は8300円止まりです。私の経験上ですが、年次昇給制度がない会社は何年在籍しても昇給はなく、入社時と同じ給料のままです。また、求人広告通りの各種支給があっても、入社前の健康診断や一部の装備品を自己負担しなければならず、思ったほど手元に残らないなんてこともあります。

警備業界に限らず、求人詐欺が多いです。広告を鵜呑みにせず、面接時に詳細の確認をしましょう。特に賃金は一番大事な条件です。日本人は「お金のことを細かく聞くのは恥ずかしい」と思いがちですが、自分の生活に直結する死活問題です。もし、給与関係の質問で面接官に嫌な顔をされたり、はっきりしない物言いをされたらその会社は辞退した方がいいでしょう。

金額だけで会社を選ぶな

複数の警備会社の求人で勤務時間が同じで時給(日給)が違ったら少しでも高い方がいいですよね。しかし、一日の勤務スケジュールは会社によって、または現場によって違います。例えば、8時~17時の日勤でも休憩が昼1時間だけの現場と、昼休憩の他に待機時間が何回かある現場があります。給料の高さで選んだ会社のタイムスケジュールや業務内容がきつくて、結局続けられなかったなんてことはよくあります。ただし、給料が高いとキツイとは限らないし、給料が低ければ楽とも限らないです。私が現在勤務しているオフィスビルの業務は前職の中央省庁より楽な現場ですが、月収は今の方が1~2万円高いです。前職に比べて資格手当が高いおかげです。

環境と給料のバランス

警備会社で稼ぐなら、休日を減らして長時間労働するのが手っ取り早いです。しかし、無理をして体調を崩して治療費にお金がかかってしまっては本末転倒、稼ぐ意味がありません。また、いくら給料が良くても人間関係が最悪で日常的なパワハラ被害に遭うような職場で長く働けるでしょうか?警備業界に限らず、どんな業界でも環境と給料のバランスは大切です。

まとめ

①給料の差別化は会社によって異なる。正社員と契約社員、日勤と当務、隊長・副隊長と平社員、資格の有無で差別化される。

②求人広告の給与条件は鵜呑みにするな。賃金はもちろんのこと、交通費の有無(上限額)や装備品の自己負担金の確認は必要。

③高額な給料に引かれて会社を選ぶと後悔することもある。給料が低ければ楽とは限らず、給料が高いからキツイとも限らない。

④働く現場は給料の多寡だけでなく、環境も大事。高給だからと自分の性格に合わない現場にいても長続きしない。

以上、警備員の給料についてでした。ここまで読んでくださった方の中には「具体的な金額が書いてないから参考にならない」とガッカリされた方がいるかもしれません。私も正直言っていくらもらえるのが妥当かわかりません。警備員の給料は全体的に安いとは感じていますが、明確な相場はわからないです。また、労働条件や職場環境など金額だけで判断できない要素もあります。

会社によって少しでも多く稼ぐための方法は異なります。正社員が優遇される会社なら正社員を目指す、資格手当が高い会社なら各種資格を取る、勤務日数の調整が可能なら無理のない範囲で日数を増やすなど。「給料が安い」とぼやくだけでなく、警備員が自身で考えて行動する努力も必要です。私個人の願いは警備業界全体で給料の底上げを実現してもらうことです。他の業界よりも賃金が高ければ、慢性的な人員不足の解消にもなるのではないでしょうか。


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