施設内で落とし物を拾ったり、お客様から届けられた時は速やかに対応しなければなりません。傘やハンカチなどの日用品と現金・キャッシュカードなどの貴重品では対応が異なります。
貴重品の拾得物は厄介
複数の警備現場を経験しましたが、ダントツで多い拾得物は傘です。次いでハンカチ・手袋などの小物類、指輪・ブレスレットなどの装身具ですね。こうした拾得物は警備室・防災センターなど施設によって異なりますが、指定の場所に届けるのが一般的です。
これが財布(現金)・クレジットカード・キャッシュカードなどの貴重品だと厄介です。お客様が財布を拾って警備員に届けた場合、まず報労金を請求する権利(お礼がもらえる権利)を主張する意思があるかどうか確認します。これまでの経験では、権利行使の意思表示した方はいません。権利行使の場合は一緒に交番(警察署)に届け出をしてもらうことになるため、時間がない・面倒という理由で権利放棄、警備員が預かって書類作成等を行います。とは言っても、後日「あの時拾ったお金のお礼は?」なんてトラブルになるかもしれませんから、権利主張の意思確認は忘れずに。
財布の拾得は所定の場所に届けて終りではありません。まず中身の確認、これは必ず二人以上で行うこと。拾った財布を勝手に開けて一人で覗き込んでいるとあらぬ疑いをかけられます。そして書類作成、持ち主がわかるようなものがあって連絡可能な場合は本人に連絡しますが、それができなければ落とし主からの問い合わせ待ちになります。そして一両日中に落とし主が現れない場合は警備員が交番に届けることになります。
スマートフォンの拾得も多いですが、ほとんどはすぐに問い合わせ・返却となります。スマホは日常生活の必需品、失くせばすぐに気づく方がほとんどです。
警備員が対応できるのは敷地内の拾得物のみ
外周巡回で落ちてる財布を見つけたけど、それが敷地の外の公道だった場合は拾って警備室に届けるなんてことはやってはいけません。警備員が対応できる拾得物は施設敷地内のみです。どうしても落ちてる財布が気になるなら施設警備員としてではなく、一個人として交番に届けるしかありません。しかし、勤務時間中に個人の用事を済ませられない・近くに交番や警察署がない・勤務終了後に届けようと思って忘れてしまうなどリスクを伴うことになるかもしれませんね。
施設の内外で対応は180度変わる
バレーボールやテニスでライン際へのサーブ、INかOUTで得点が味方と敵のどちらに入るか、ほんの数センチの違いでガラリと変わります。施設警備はスポーツではありませんが、施設のINとOUTで拾得物の対応は180度変わります。施設前の公道での拾得物を近くにいる警備員に渡して来ることがありますが、交番に直接届けてもらうよう案内します。わざわざ持って来てくれたのに突っ返すのは心苦しいのですが、仕方ありません。
拾得物対応ができない警備員が多い
中央省庁で勤務していた時のことです。朝一で受付業務に着いたら見慣れない財布がありました。『財布落ちてました』とのメモ書きが貼ってありましたが、拾得者の氏名も場所も時間も対応した隊員の名前もありません。前日にはなかったので日勤者が帰った後の拾得物と思われますが、夜間勤務者は明けで退勤、誰が扱ったのかわからないまま、次の受付隊員と交代後に守衛室に届けました。拾得物の貴重品を半日も無人の受付に放置するなどあり得ない対応で、本来ならすぐに守衛室に届けなければならないのに拾得物の対応を理解してなかったのか、ただ単に面倒だったのかわかりませんが、こんなダメ警備員が現実に存在しているのです。また、拾得物を渡された時に拾得者の氏名も拾った場所も何も確認せずに黙って受け取るボンクラ隊員もいましたね。こんな隊員は施設外での拾得物も受け取ってしまうんですね。
まとめ
①現金の拾得物対応は面倒。拾得者に報労金請求権利を行使する意思があるかどうかの確認、二人以上で金額の確認、書類作成などやる事が多い。
②敷地の外の拾得物は受け取れない。施設外での拾得物を届けられても処理できないので、拾得者に直接交番に届けるよう案内する。
③断る勇気も必要。わざわざ届けに来てくれたのに拒否するのは心苦しいけど、施設外での拾得物の対応はできない。
④拾得物の対応ができない警備員がいる。拾得者・時間・場所などの確認もせず、自分で届けることもできないダメ警備員が存在する。
以上、拾得物対応についてでした。施設警備で拾得物対応は面倒な業務です。特に現金などの貴重品の処理は時間がかかり、できれば物を拾いたくないと言うのが正直な気持ちです。それでも持ち主が見つかり、無事に返還できた時はホッとします。お客様には落とし物・忘れ物にはご注意いただきたいですね。