ブラック警備会社体験記【保安検査編】

2013年入社 在籍期間6ヶ月 24時間勤務

面接

電話で応募、担当者に「面接はお見合いみたいなものだからお会いしましょう」との言葉が今でも印象に残っています。

面接では未経験でも大丈夫、24時間勤務も慣れれば大丈夫と『大丈夫アピール』。そして「いつから来れますか」と即日採用決定。今にして思えば応募者皆採用の会社って常に人員不足、だから応募者は逃がさない、つまりは人材が定着しないブラック企業の募集パターンだったけど当時はバイトも辞めて無職だったので一日も早く働きたいとの思いから採用されて安心してしまいました。これが劣悪な警備隊への入口でした。

入社後のギャップ

本社での新任教育の三日間の給料は出ません。無給で拘束されます。交通費も未払いでした。後に警備員に義務付けられている現任教育も受けましたが勤続一年未満の隊員は無給です。大抵の警備会社は現任教育は半年に一度、業務の一環として給料発生します。しかしこの会社は毎月給料日に隊員が本社で一時間現任教育を受けることになっていて年間法定時間をクリアしないと給料が発生しない仕組みになっていました。これは隊員の定着率を少しでも良くするための苦肉の策、「最低一年は働かないと現任教育費がもらえないよ」との無言のメッセージでした。私は6カ月で退職したので無給でした。これについて労働基準監督署に確認しましたが、たとえ一時間でも業務としての拘束時間に対して会社は賃金支払いの義務が生じるとのことです。つまりこの会社のやっていることは労基法違反、ブラック企業確定です。

あとはやたらと物を買わされました。新任教育で使う教本が配られて教官から指定用紙に名前記入と押印の指示、そこには\2300の文字、給料からしっかり天引きされました。また、現場では白手袋も貸与ではなく購入でした。一双\400を二双購入、痛い出費です。

新任教育後、空港の従業員通用口の保安検査場に配属されました。面接で未経験OKでも大丈夫は嘘でした。男性隊員は空港保安一級者ばかり、女子隊でもほとんど有資格者で最低でも二級所持の精鋭ぞろいでした。覚えることが多くて万引きGメンの経験しかない私にはハードルが高い現場でした。

福利厚生・労働環境

入社から3か月の使用期間終了後に保険証をもらいました。あとは社員寮もありました。私も片道2時間かけての通勤だったので入寮を勧められましたが住み慣れた地を離れたくなかったので辞退しました。結果的に6カ月で退職となったので正しい選択でしたね。

労働環境は私が経験した中では最悪でした。新任教育時に教官が「離職率5割」と言っていたのですが納得でした。常に人員不足のため休みが少ない、男性隊員にいたっては24時間当直勤務(以下当務)明けでそのまま日勤突入が常態化、その割には給料は少ない、当然退職者が多くなり人が定着しない負のループが続くわけです。それと毎月のレポート提出はウンザリでした。今月の反省点と翌月の目標などですが業務内容がほとんどワンパターンで目新しい目標なんて思いつかないです。『元気よく挨拶』『丁寧なお客様対応』『端正な身だしなみ』このくらいしか思いつきませんでした。

社風・人間関係

どちらかと言うとスパルタ教育が奨励されてました。現場での新人研修から恫喝の嵐でした。未経験の新人が何年もいるベテラン隊員と同じように業務をこなせるわけがない、そんなことわかりそうなものだけど厳しい指導で新人が育つと勘違いしてるようでした。また、現場のリーダーと本社管理職の繋がりが強く、保安警備隊隊長や女子隊リーダーに嫌われて管理職に悪口を吹き込まれると新人が事実を伝えても信じてもらえません。実際私が管理職に訴えたことを聞いてもらえず「虚言癖がある」などと言われました。

人間関係も最悪でした。若い人が多い警備隊だったせいか幼稚な集団でした。話題はその場にいない隊員の悪口や噂話などくだらない話ばかりでした。男性隊員は陰湿、女子隊員はヒステリックと性格にクセがある人が多かったです。新人がここで生き残るには責任者に気に入られることしか道はありません。責任者クラスの新人いじめは最悪、隊長・リーダーには絶対服従、嫌われたらどうでもいい事案でネチネチ攻撃されます。私は巡回中マスク着用してたと複数の隊員から攻撃されました。この現場ではマスク着用禁止だったらしいのですがそんなこと誰も教えてくれず、巡回中すれ違った先輩隊員も教えてくれませんでした。たぶん、そのすれ違った先輩隊員が女子隊リーダーにチクってわざと大事にしたのだと思われます。このマスクの一件は女子警備待機室に『勤務中のマスクの着用は禁止です』と貼り紙されました。新人の私に対する嫌がらせ、いじめですね。

退職理由

日々のハラスメントが退職理由としては十分ですが決定打となったのは資格取得を希望したいたのに試験を受けさせてもらえなかったことです。この警備隊では入社した順番に資格試験を受けさせてもらえるシステムで数カ月前の先輩が試験に合格していよいよ私の番だと思ったら後輩が先に試験を受けることに、つまり私の順番が抜かされたのです。隊長に理由を聞いても「若い人のほうが学科試験が有利」と意味不明な返事でした。明らかに保安隊長・女子隊リーダーとサブリーダー・本社の管理職の画策、これらの人に嫌われたら資格取得のチャンスももらえないのです。

この件で退職を決意しました。これ以上こんな職場にいても自分にとってプラスになることは皆無と判断しました。片道2時間の通勤、慣れない当務、劣悪な人間関係、安い賃金などこの会社に入って良かったことなどありませんでした。

こんな私でも仲良くしてくれた女子隊員が二人いました。私の退職が正式に発表されたらこの二人が焼肉店でささやかな送別会をしてくれました。最悪の職場で唯一の良き思い出です。

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